北京世界陸上が終わり、しかも2m17㎝で予選通過に必要な2m29まで届かず、世界陸上前はTVで話題になりながら、終わった後はすっかり忘れ去られたかのようになってしまった平松祐二選手について取り上げる。
この一般とは違った時期に特集してしまうのが本ブログの特徴である。
もちろん、上記のように厳しいような書き方をしているが、身長185㎝と世界の走高跳選手的に言うと小柄の部類になってしまうが、彼には非常に期待しており、将来性も十分だと思っている。
平松選手は京都府の男山東中学時代はサッカー部であり、足が速くなりたいということで陸上部の練習に参加させてもらっていたところ、身長が高いから、との理由で走高跳をやることになった。(実は小学校6年の時に走高跳で大会に出場し125㎝だったが、特に、その後は中3までやることもなかったようである)。京都府の大会では1m73を跳び4位に入っているが、1位藤林、2位田中が1m91を跳んでいるのと比較すれば、全国大会に出場したわけでもなく、全く無名状態であった。普通なら、これで走高跳に見切りをつけ、本業のサッカーに専念する所だったが、『お前は高校で日本一になるから』と言われ、西城陽高校では陸上を本格的に始めることになった。
それが高校1年になり、190㎝台の記録をすぐに安定して出せるようになる。また2m07をマークしインターハイ7位となり、中学時代は雲の上の存在だった藤林、田中の記録を追い抜いてしまった。
高2でインターハイは2m10で4位入賞、高3では2m19を跳びついにインターハイを制覇した。その勢いで、秋の国体ではついに2m20の大台に達した。これは日本高校歴代6位タイであった。まさしく、言われた通り高校日本一になってしまった。
走高跳と同時並行に三段跳びも行っており、高3で15m23を跳び、インターハイ4位に入っている。
クリスチャン・オルソンと同様に三段跳びにも非凡な才能を示した。意外とこの二種目は相性が良いようである。
そして大学では今や走高跳の有名選手が集う筑波大学へ進学した。普通は1年生の段階ではあまり高3の時の記録を上回ることが少ないのであるが、彼は大学1年の関東インカレで2m28とベストをいきなり8㎝も更新する記録で優勝し、北京世界陸上の参加標準記録を突破してしまった。その後はTVでも話題となり、一躍注目を浴びることとなった。日本選手権では2m23で3位に入り、同じく標準記録を突破していた高張選手を抑え、戸邉、衛藤に次ぐ北京世界陸上第3番目の枠を確保し、筑波大関係者で独占することとなった。
世界陸上の状況は最初の男子マラソンや10000万メートル、競歩の段階で既に悪い流れになり、全般的に日本勢の成績は低調であったが、走高跳も同様、3人とも予選落ちとなった。
こうやって書くと、最初の勢いが良ければ予選突破し、入賞できそうな感じがしてしまうが、正直言えば、戸邉がベストに近い状況で何とか予選を超えて、上手くいけば8位以内に入れればいいくらいの記録、衛藤、平松は上手く2m28とかあたりの自己ベストまで1回でクリアして何とか決勝に行けるレベルであった。なので、結果面についてはそんなに言うことはないが、世界のレベルを実感したことで、何が不足しているかが判明し、今後の自分の跳躍に足りない物を身に付けていき、戸邉のようにダイヤモンドリーグ等世界の強豪と競い合っていけば、まだまだ記録も伸ばして、勝負強さも身につけられると思う。
是非とも、東京オリンピックの頃には走高跳で決勝進出できるのが当たり前と言われる2m30台中盤から後半の記録をコンスタントに出せる選手に成長していただきたい。
参考
http://sports.yahoo.co.jp/sports/athletic/all/2015/columndtl/201506230003-spnavi?page=2