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日本人が英語を話せないわけ

以前にも記事にしましたが、私自身が日本人の英語が下手、とか思っているわけではなく、むしろ、割と文法的に正しい英文を話している。
何故、日本人が英語を話せない、とか、英語が下手、と言われているのか考えてみた。

その1:本当に英語が下手。もうこれが理由ならどうしようもない。上手なれ、で話は終了する。TOEFLスコアがアジアでどうなっているかを見るために、ここのP.17のデータを引用する。
アジア30か国のTOEFL(iBT)120点満点のスコアは以下の通りである。

(1)シンガポール:98、(2)インド:92、(3)マレーシア、パキスタン、フィリピン:88、・・・(9)韓国:81、・・・(16)中国:77、・・・(27)日本:70、(28)ラオス:67、(29)タジキスタン:66、(30)カンボジア:63

日本は下から見た方が早そうである。ということで英語が下手で正解。。。で済ますのは簡単だが、(1)シンガポールは公用語が英語で、通常仕事場では英語が使われている。文書類やメールも英語である。世間話は中国語とかを使っていることが結構あるが、公の場では英語を使っている。ということで、生活に英語使っているような奴と普段使わないような日本人を比較する時点で意味がない。また、インドも国内に多数の言語が存在するため、公用語として英語を使っている。フィリピンなどは高等教育が英語でないと受けられず、日常的にTVでも英語の番組がそのまま流れていたりする。マレーシアも英語が日常的に使われていたりする。要するに、上位の国々は日常の生活に英語を使ているような国である。
また、受験料が230ドルもするため、所得の低い国の人にとっては簡単に受けられる試験ではなく、一部エリート留学生の受ける試験であるため、玉石混合の受験生がいる日本よりは成績も良くなる傾向にある。
韓国の場合、ソウル大やソウル周辺の大学に進学できない場合は海外の大学へ進学するのが次善の策となり、必死である。何せ大学名で人生が本当に決まってしまうからだ。(日本の場合、しょせん大学名など、入社試験の足切をクリアするためのチケットに過ぎず、入社しても、一部の会社を除き、学歴など大した意味を持たない)。
中国も同様に一攫千金や海外永住を目指す上で必死に英語を勉強しないといけないエリート層が受験している。
これに比べ、日本では2005年データの受験者(http://www.ecominc.co.jp/blog/2013/05568/)は146439人もいる。
ということで、見かけの順位は確かに下の方だが、このデータだけでは何とも言えない、ということである。

その2 英会話学校及び英語産業のステマ
日本人が本当は英語を話すのが結構得意だということに気付かれると英会話学校や英語資格関係のスクール(TOEIC、TOEFL、英検等)のおまんまが食い上げになってしまう。何故なら、得意なんだったら、そんな学校行く必要もないじゃないか、ということに気付かれてしまうから。企業も本当は日本人が英語圏に行って普通に仕事できる、ということを知っていたら、いちいち英会話学校に金を払ってまで社内人材を育成しないであろう。
現実TOEIC300点台で海外駐在スタートした人を知っているが、数年後には仕事でも全く困らず、英語でプレゼントかしていた。確かに英文書くとやや稚拙な文章ではあるが、専門知識、ロジカルな文章構成がそれを補って余りある仕事ぶりであった。
他にも、海外の女の子と喋るため、何故か英語使えるようになった人とかも多く、決して日本人が英語話せないわけではなかった。
要するに、元々のコミュ力や仕事の技術力、英語を話してまでも手に入れたい強い欲求のある人なら、英語は話せるのである。話せないのは英語を話してまで何かを求めたいという欲求のたいしてない人なだけである。

その3 海外から来た人が日本人に話しかけても英語が通じない。
はっきり言いましょう。ネイティブと言われるアメリカやイギリス、オーストラリアから来た人たちは自分たちの英語が訛っていることに気づいていないのである。あんな文字とかけ離れた喋り方をして通じると思う方がおかしいのだ。日本に来たら日本人が分かるように英語を話さんかい!! というのが正直なところである。言われた内容が例え英語であったとしても、言われている内容が文字に書かれればある程度のことは理解できる。自分の英語が伝わらなかったら、日本人の英語力が無いのを疑うのではなく、ネイティブ自身の英語スピーキング力が通じない英語であることを疑うべきである。

その4 カタカナ英語風で通じない。
ネイティブなら日本人がカタカナ英語でせっかく話してやっているんだから、想像力駆使して理解せんかい!! 何のためにネイティブ並みの英語理解力を持っているんだ! と言いたくもなる。だいたい、シンガポールとかも英語公用語ながら、相当発音に癖はあるので、初めて聞いて理解することはネイティブと呼ばれるアメリカ人の場合、結構苦労するであろう。

その5 日本人が横にいると話さない。
日本人は自分の間違いに対して甘い割に、人の間違いを鬼の首を取ったかのように指摘する。例えばAmazonの書評とかでも内容ではなく、誤字脱字の数が多いとかで星の数を減らしたりする。そんなもん、あれだけの字数打てば間違いも出るわい、そんなに言うなら、本代にもっと金払え、と著者も思っていることであろう。たぶん、このブログに対しても誤字多いな、ちゃんと見直しとけ、と思っている人もいるかもしれないが。
こんな気質の日本人がいる横では、もちろん、文法的間違いの出る可能性が高い英語なんか話すのはどだい無理となる。何せ、他人が手ぐすね引いて間違いを指摘するチャンスを狙っているからである。
Youtubeで、日本人のお偉いさんとか芸能人が英語を話しているような動画アップされていたら、必ず、英語の発音が・・・とか、こんな言い回ししない、とか言う奴がいっぱい出てくる。
ここまで英語を話すことに対して敷居を上げられたら、私も日本人が横にいると英語を話したり、書いたりしたいとは思わない。なので、他の日本人がいないところでは、結構日本人も気にせず英語を話したりする。特に海外とかで、日本語通じなければ、日本人にとっては英語でもまだ話せる部類の言語であるため、普通に使っていたりする。

ということで、日本人は英語を話すための知識量は相当あるのだが、音声面がいわゆるネイティブの出し方とは相違があるため、通じにくいのは確か。ただし、日本人が横にいなければ、結構日本人も英語を話している。また、エリートでもない日本人が気楽にTOEFL受けるくらいには英語浸透しているので、日本人が英語を話せないというのは幻想である(もちろん人により程度の差があるが)。

日本人は英語が得意です

世の中の雑誌やネット、その他で、日本人は英語ができない、と判で押したように主張している。そんなに卑下して何が楽しいんだろうというくらいに。
そういう主張を行う根拠は大体、
(1)日本国内で英語で話しかけられて答えられない
(2)TOEFLの点数が低い
(3)10年以上英語を勉強してろくに英会話もできない
というものである。
(1)についてはまあ、当たり前だろう。日本語が標準言語として普及している国内で英語で話しかける奴の方が異端である。これが逆に私がアメリカに行って日本語で話しかけて日本語が通じないと怒るか、と言えば、そんなことで怒る気にもならないし、アメリカ人はろくに日本語も話せない、とか言うわけもないのである。
(2)については日本のTOEFLの点数は下から数えた方が早いのも事実である。しかし、まず韓国以外の他の国と比べると、受験人口が違いすぎる。大部分の国ではTOEFLを受けるのも高く、選ばれたエリートが受験するため、点数も高くなる。一方、日本の場合、本気で留学する連中、日本の大学に入り損ねたので、取りあえず海外へ行っておこう、といった連中、学校で無理やり受けさせられた連中とかの平均のため、点数も低く出やすい。英語ができないというより、受ける必要の無い連中が点数を下げているのである。
(3)10年以上英語を勉強してろくに英会話もできない、というのが学校の授業を言っているのであれば、当たり前である。
例えば、将棋を指すようになるときに、10年かけてルールを細切れに覚えて(文法に相当)、1局のプロの対局を10年かけてじっくり説明を受け(長文読解)、実践はほとんど打った(英会話練習、英語の読書)こともないくせに、実際の対局(英会話)でプロ(ネイティブスピーカー)に英語が通じないとか、英語が読めないとか言っているようなものである。そんな授業を10年聞き流しているだけで上達するのなら、どんな分野でもプロ級の連中だらけになる。そんなこともわからずに学校の授業のせいにしているのは笑止千万である。

では日本人が英語を得意としている根拠はというと、
(1)私は英語が話せません、と正確に英語で言える
(2)和製英語と言われようが、元々英語だった単語を相当数知っている
(3)たとえ英語が良くわからないという人でも、恐るべき推察力で何が求められているかを理解することができる
ということである。
(1)について、I can’t speak English.と日本人は英語話せないという。しかしアメリカ人や中国人だったら、“私は日本語話せません”とかいう内容が話せれば、もう、日本語話せます、と言い切ってしまう。要するに日本人の考える英語話せる、というレベルが高すぎるのである。海外基準なら、本当は英語が話せるのであるが、日本人の自虐ネタのせいで、それが海外にも伝わり、日本人は英語が話せないという伝説が広まっているのである。
(2)はもう日本人自身意識していないが、ペン、ルール、アダルト、ラジオ、テーブル、デスク、テスト、ギター、バイオリン、ピアノ、テレビ、ソックス、セーター、ミンチ、スライス、チーズ、トマト、エッグマフィン、アイデンティティー、ユビキタス、コンパチブル、・・・等々、日本語チックな発音とはなっているが、多数の単語を使っているのである。これは外来語をそのままカタカナにして使っている単語が多いためであり、海外の言葉をそのまま取り入れるすべを持つ日本人は英語が本来できるのである。
(3)は元々日本語自体、『あれはどうなった?』とか『あの件は上手いことやって、奴を出し抜いた』とかもう指示語多様の文章でも内々では通じてしまうことが良くある。これが英語でも適用され、英語が話されている状況とわずかにわかる状況と、日本人的感性と先読みで、なんと大体意思疎通ができてしまったりする。要するに、たとえ英語の音声を発することは得意でなくても、相手の言っていることを理解してしまう能力は高いのである。

結論として、日本人は英語が苦手、10年勉強しても英語ができない、と卑下するのは止めて、日本人は英語の天才で、得意なのだ、と思ってよいのである。