走高跳(衛藤昂)

今回は世界陸上にも出場した衛藤昂(えとう たかし)選手について述べる。

北京世界陸上では残念ながら2m22㎝で予選を通過できなかったが、バーシム、ボンダレンコといった2m40を超えるジャンプを見せていた連中でさえ決勝2m33㎝しか跳べなかったのを見ると、2m28ベスト(※北京世界陸上時点であり、2016年に2m29に自己ベストを更新した)の衛藤がそのくらいの記録でも、厳しい言い方をすると、順当通りでもある。

衛藤は三重県の白子中学から、鈴鹿工業高等専門学校へ進み、同高専の専攻科を経て、人間総合科学研究科
体育学専攻へ入学したという、エンジニアから体育を極めに来た変わり種である。現在は大学院を修了し、AGF所属である。
小学校6年生の大会で走高跳を優勝する。そこから走高跳を本格的に始める。中3で1m71をマークする。
高校進学時には祖父が鈴鹿高専の陸上部の顧問をしていた等の縁があり、その他諸々の要員も含めて、鈴鹿高専に自身も進学することになる。高専入学した1年目に東海総体に出場するも、記録なしに終わる。公式練習で自分のベストに近い高さをはさみ跳びで軽々跳ぶような選手をみて、ショックを受け、冬場には基礎体力重視の練習に専念した。また走高跳専門の先生らの指導を仰ぎ、高専2年の時にはベストを22㎝更新し、2m02までマークする。大きな大会では、全国総体出場、日本ユース5位入賞、全国高専優勝という成果を得た。
高専3年時には、全国総体2m06で3位入賞、日本ジュニア選手権2m06で3位入賞、全国高専大会では走高跳と110mHの2種目に出場し、走高跳は2位と17㎝の大差をつける2m07で優勝、110mHも15.53で4位に入る。
高専4年時には、全国高専大会で2m13の大会記録で優勝し、ベスト記録を2m19とする。
高専5年時には、2m18。ここで、大学編入も考えられたが、同一環境で練習できる専攻科へ進学し、高専6年目で2m20の大台を突破する2m24、高専7年目で2m20を記録する。
鈴鹿高専を卒業すると、走高跳の名門筑波大学大学院の人間総合科学研究科体育学専攻へ入学することになった。ここでは既に戸邉選手が第一人者として走高跳を極めようと日々努力していた環境で、切磋琢磨することになった。
大学院1年には2m27をマークし、国体優勝、日本選手権2位、大学院2年にはアジア大会2m25で5位、日本選手権2m22で優勝を果たす。筑波大学大学院卒業後AGFへ入社し、2015年5月3日の静岡国際では2m28の北京世界陸上の参加標準記録を突破する。そして日本選手権で2m26で戸邉と同記録ながら2位に入り、北京世界陸上への派遣が決まった。世界陸上は冒頭に示した通りである。

身長183㎝で戸邉に比べ恵まれないが、それでも、安定した跳躍技術と、110mHも14.47で走る走力を生かし、2m30オーバーのジャンプをできると思うので、今後に期待したい。現在2m28を超える選手が現役で4人いるので、切磋琢磨して、東京オリンピックの参加標準をクリアし、フィールド競技を盛り上げていってほしい。

※衛藤選手は2017年4月16日の三重県国体予選一次選考会でついに2m30をクリアすることが出来たようです。おめでとうございます。何か上の方で辛口コメントしてますが、是非これからも頑張って日本記録更新目指してください。

参考:
http://pdfbooksgrey.org/k-28903309.html
http://mierk.jp/myBloggie/index.php?mode=viewcat&cat_id=7&pageno=15&limit=5

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です