走高跳(ステファン・ホルム)

前回、ドナルド・トーマスの話を書きましたが、やはり、ライバルとして取り上げられていたこの人の話は避けることができません。
ステファン・ホルムは偉大なるハイジャンパーであるパトリック・ショーベリーを生んだスウェーデン出身です。幼少の頃から走高跳を始め、1987年の11歳で1m40の記録が残っており、1992年の16歳には2m06と2mの大台突破を果たします。2004年アテネオリンピックでは2m36の記録で金メダルに輝きます。そして2005年のヨーロッパ室内選手権では屋内・屋外合わせ、初の2m40をマークし、世界の超一流の記録と称せられる領域に突入しました。
当然のことながら2007年の世界陸上でも優勝候補筆頭でしたが、ホルムは4位にとどまり、伏兵のドナルド・トーマスに優勝をかっさらわれます。2008年の北京オリンピックでも2m32の4位に終わり、メダル獲得できず、その年に引退しました。

ホルムは身長181㎝と日本でなら長身ですが、スウェーデンの平均身長が約181㎝なので、ほぼ平均並みの身長しかありません。そのため、陸上競技の動画でも『このSmall Guyがクリアしました』みたいな言われ方をしておりました。また、垂直跳びも60㎝程度で、これまた人並みしかないにもかかわらず、頭上59㎝である2m40㎝と、ものすごい高さをクリアしております。
しかし、NHKの番組で放送されたホルムの練習風景では、160㎝以上ある高さのハードルを軽々と連続して超えていきます。また、はさみ跳びでも2m10を超える映像が残されており、垂直跳びが大したことないと言っても、やはり上へ飛び上がる能力は大したものがあるのです。

さすがに長年にわたり鍛錬されてきた技術だけに、あのスピードを上昇力に生かしたジャンプは常人には真似できません。助走スピードが非常に速いため、バーからの距離が1m10㎝(たぶん、もっと離れていると思うが)と遠くから踏切、バーをクリアした後も、助走の速さからか、半回転するかのように落下していくさまは圧巻でした。
日本人選手からもホルム選手並の助走スピードを持ち、器用に高いバーをクリアして楽しませてくれる選手が出てくることを期待します。

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