走高跳(クリスチャン・オルソン)

クリスチャン・オルソン:1980年生まれ、スウェーデン出身。身長192㎝の長身で、2003年世界陸上三段跳、2004年アテネオリンピック三段跳びの金メダリストである。
何故、走高跳の話題なのに、三段跳の選手が登場するのか? それはオルソンが元々三段跳ではなく、走高跳の選手としてキャリアをスタートしたからである。10歳で陸上競技を始め、11歳で走高跳1m49、14歳で1m79とそれなりに記録を伸ばしていった。
スウェーデンの国民的英雄パトリック・ショーベリーを育てたビィルヨ・ノウシィアイネンの指導を受けるようになり、さらに走高跳に対し、こだわりを持つようになった。しかし、その思いに反し、18歳にしてようやく2m04と大台超えを達成するスローペースの成長であった。しかし、19歳のとき出場した三段跳びで16m27を記録し、三段跳でも非凡な才能を見せた。走高跳も2m22をマークし、急成長を遂げた。
そんな中、コーチのノウシィアイネンが急死し、オルソンよりわずか2歳上のヤニック・トレガロが選手を引退し、コーチへと就任。2000年には16m97、2001年には17m49と大幅に三段跳びの記録を伸ばし、もはや走高跳専門で三段跳をやる、というよりか、三段跳が専門で走高跳もできる、といった感じになってしまった。この後も、コンディション調整が難しい三段跳びで17m台をコンスタントにマークし、世界記録保持者のジョナサン・エドワーズを試合で破るなどし、三段跳のトップ選手として認識されるようになった。こうして、走高跳のオリンピック出場はかなわなかったものの、三段跳では見事アテネオリンピックで17m79をマークし、金メダル獲得した。

オルソンは結局、三段跳17m79、走高跳2m28(インドア)、走幅跳7m71という跳躍3種目で高い能力を発揮した、稀有の才能の持ち主であった。人間の適正というものはやってみると、意外なところで発揮されることもあるものである。一つのことが上手くいかなくても、他の分野なら成功するかもしれない、という教訓であろう。

参考:『種目変更で世界王者に 三段跳びのプリンス――C・オルソン
Quest for Gold in Osaka
』http://sports.yahoo.co.jp/sports/other/all/2012/columndtl/200812020009-spnavi
IAAF 『Christian Olsson』http://www.iaaf.org/athletes/sweden/christian-olsson-172059

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